ゆらゆらばしのうえで
ものがたり
何日も降り続いた大雨がやっとやみました。一本橋がかかる両岸の土は雨でくずれかかっています。橋はまんなかの支柱一本で支えられているだけで、誰かが通るとゆらゆらしています。
そこへキツネに追われたウサギが逃げ込んできました。キツネはウサギを渡らせまいと橋をドンドンと踏みならしました。
大変!橋は土手からはずれて川のまんなかでヤジロベエのようにゆらゆら。 2匹は橋の上で動けなくなってしまいました。あやうくバランスをとっている橋の上で、お互いののしりあっていましたが相手の重さがないと、自分も激流に落ちてしまいます。タカにおそわれた時は助け合い、眠くなれば励まし合っているうちに、2匹はいつしか一晩中語り合うようになっていました。
山のうえから夜明けの風が吹いてきました。
風にあおられて橋がゆっくりまわりはじめました。
「わぁー、もうだめだ!!」
「か、かわにおちるぅー!!」
<ゆらゆら ハラハラ>
ゆらゆらゆれる橋を前にすると、人はどうしても本心が現れたり、普段と違う自分になったり、相手を大事にしたい気持ちが自然に表現されたりと、心が変化します。
落ちたら下は激流です。助かる見込みはありません。そんな不安定な橋を前にして起こる人間もよう。
そしてその橋がもしはずれてヤジロベエのようになっちゃったらたとえ敵同士でもお互いの重さがないと落ちてしまうのです。
どんな人間も心の中にいろんな気持ちを持っています。でも、こんな時はどうしても一番正直な気持ちが現れてしまうでしょう。
そんな動物の心のドラマをオムニバス風にして、書いてみたくなりました。
さて、あなただったら、ゆらゆら橋の上でどんな気持ちになる?
ハラハラドキドキの中に、笑いやおかしさをもりこんでみました。
出てくるのはみんな動物ですが、人間の心のドラマを書いたつもりです。
(作:きむらゆういち)
スタッフ

作=きむら ゆういち
脚本・演出=ふじた あさや
美術=倉本 政典
音楽・音響=ノノヤママナコ
照明=御原 祥子
衣裳=中矢 恵子
振付=ほり みか
宣伝美術
イラスト=はたこうしろう
デザイン=柳川 晃義